2016年2月7日日曜日

katagaitai CTF 2016 関西 med に参加しました

2016年02月06日(土曜日)に大阪で開かれたkatagaitai CTFの中級者向け勉強会に参加しました。内容は暗号とエクスプロイトで、私は脱初心者を目指して参加しました。
暗号はCSAW CTF 2014 Crypto300のfeal.pyを、エクスプロイトはCodeGate 2015 Pwnable400のbeef_steakを中心にハンズオンで講義が行われました。
いずれも惜しくも時間内には解けませんでしたが、また時間に余裕がある時に解法コードを作って載せられたらと思います。(試験のすぐ前なので今は時間が無いです)

暗号 - feal.py

暗号問題は、サーバーで動作しているpythonコード(feal.py)が渡され、そこに接続します。
・第一段階
まず、指定された文字列(ランダムな16文字)から始まり、sha1の最終16ビットが全て1になるような文字列を送信しなくてはなりません。つまり、
h = sha1(str_rnd + something)
について、
h[:-1] == h[-2] == 0xFF
であれば通過できます。
これは単純にsomethingにブルートフォースしたら簡単に通りました。
ここまでは家で解いてきたのですが、その後はでっていう状態でした。

・第二段階
次に暗号化されたフラグが渡されます。これは保存しておきます。今回使用されている暗号は、タイトルの通りFEAL暗号ですが、よく見ると、

return ((x << 2) | (x >> 6)) & 0xff

であるはずのシフト関数が、

return ((x << 3) | (x >> 5)) & 0xff

になっていました。本来の仕様との違いはこれだけです。
今回使用する攻撃はDifferential Cryptanalysis(差分解読法)とかいう聞いたこともない方法で、要するに
「入力A, BについてFEAL(A), FEAL(B)が求まっていて、その出力差分FEAL(A) ^ FEAL(B)が一定ならX ^ Y == A ^ B(入力差分がA,Bと等しい)ような入力に対して、その出力の差分はFEAL(A) ^ FEAL(B)となる」
みたいな感じでした。(間違ってたらすいません)
なんとなーく分かったのですが、実際にコードを書くと何かしっくりこなかったです。それに、後から知ったのですが、pythonで書くと十数時間かかるようで、C言語で書く必要があったそうです。ずっとpythonで買いてパソコンのファンを鳴らしていました。

結局私のコードで答えは出ずに、解答だけ聞いて終了してしまいました。暇なときにコードを書きます。


エクスプロイト - beef_steak
エクスプロイトと聞いてうわぁって感じだったのですが、内容はとても面白かったです。とにかくスライドが詳しく書かれていました。(暗号のスライドも図が多くて分かりやすかったですが、こちらは300ページ程度ありました)
beef_steakでは、steakというLinux x86_64のバイナリが渡され、それを実行しているサーバーを攻略するという問題です。家で解析しておきましょうという指令が出ていたので、C言語のコードに直したのですが、その時はStack BOFがあるだけで、フラグが読めそうとは思いませんでした。というのも、Stack Canaryが付いており、オーバーフローしてもすぐに終了してしまうのです。

・第一段階
家で解析したときのCコードを以下に示します。

RC4で暗号化されたデータを復号化するのが目的です。オーバーフローというとret2libcやROPのイメージが強かったので、今回は全く分からない状態からスタートしました。
ここで新たに学んだのは、"argv[0] leak"という手法です。(正式名称でない?)これは、Stack CanaryのStack Smashingメッセージが表示されることを利用し、内部のデータを取得するという方法です。
具体的には、オーバーフローを起こした際の
*** stack smashing detected ***: ./steak terminated
というおなじみのメッセージの
./steak
を取得したい変数に変更します。そのためASLRが有効な場合は固定アドレスに存在するデータが取得する対象となります。今回のCコードを読めば分かるように、key、state、output等のデータはアドレスが固定されています。
どうやって"./steak"の部分を変えるかですが、__stack_chk_fail関数では、普通にargvの内容からargv[0]のファイル名を表示しているそうです。(詳しくはkatagaitai CTFの資料を参考に。)つまり、十分にオーバーフローできる場合、argv[0]のポインタがある部分を取得したいデータのアドレスに書き換えてやります。
これを聞いてさっそく
"\xe0\x20\x60\x00\x00\x00\x00\x00" * 40
みたいなデータ(keyのアドレスを繰り返し)を送ろうと考えたのですが、よく考えたらkeyは使用した直後にmemsetで0にクリアされています。ということでstateを取得したら見事取得できました。と思ったら256バイトあるはずのデータを途中までしか取れていません。これはstateの途中に0x00が存在するのが原因で、
 接続→stateを取得(lengthバイト)→切断→接続→state+lengthを取得(lengthバイト)...
みたいに何度か接続するようにして全てのデータを取得しました。

・第二段階
もともと"What's your favorite food?"という質問に対して答えが正しければ通ります。取得したstateを元に、バイナリから取得した暗号化済みデータを復号化し、それを送りました。ここで新たなバグを使用します。steakは入力の文字数をstrlenで取得し、その分暗号化しているのですが、入力の最初に0x00を持ってくることで、暗号化処理をスキップできます。そうしてチェックを通過すると、自由にメッセージを"./message"に書き込むことができるようになります。
ここで使用するのがShared Library Injectionという手法で、これはLD_PRELOADで自前のライブラリを使用することで攻撃できます。したがって、今回のように自由にファイルをアップロードできる状態か、sshのような形式でないと利用できません。今回は、systemをexecve("/bin/sh", 0, NULL);に変更するようなライブラリを作りました。(messageへの書き込みにsystem関数が呼び出される。)messageに保存できたら、これを利用したいのですが、ライブラリmessageを読み込ませる手段が必要です。

・第三段階
messageを読み込ませるには、環境変数LD_PRELOADを./messageにする必要があります。つまり、オーバーフローを使用してenvp[0]のアドレスを"LD_PRELOAD=./message"を指すアドレスにすればよいのです。こんなコードを作って実行したのですが、ローカルでは「ライブラリをロードできません」みたいなメッセージが出て、リモートではそもそも何も起こりませんでした。ちょっとよく分からないので暇な時にやります。

この他にも様々なexploit tipsを教えていただきました。

まとめ
katagaitai CTFの勉強会に参加させていただくのは今回が初めてでしたが、内容は難しかったものの、その技術は(なんとなく)分かったので、非常に有意義な勉強会だったと言えます。どちらも全く知らなかった攻撃揃いだったので、自分でコードを作りながらも新鮮な感じがしました。難しかったとはいえ、このくらいのレベルはやってて楽しいので、次回も同じレベルの勉強会があれば是非参加したいです。